がんは昭和50年代から日本人の死亡原因の第1位となっており、現在までその傾向は変わることなく、毎年30万人強の人々がこの病気によって命を落としています。ただし、こうしたがんを早期に発見し、抗がん剤や手術などによる適切な治療を受けることができた場合は、生還する確率も高いことから、多くの国民のがん検診の受診が強く薦められるところです。がん検診といっても、がんができる部位によって区別があり、一般的なものとしては、男性では40歳以降の胃がん、肺がん、大腸がんの検診、女性ではこれに加えて40歳代以上の乳がん検診、20歳以上の子宮がん検診があります。ところが、男性ではこれら3つの検診の受診率は全体の3割程度、女性は5つの検診で2割程度という低い水準にあります。
これは国際的に見ても顕著な低調さであるとされており、例えばアメリカでは子宮頚がんの検診受診率が8割以上であるのに比べ、日本では2割という数字にその差が端的にあらわれています。そこで、医療機関が行う人間ドックでこうした検診のメニューを採り入れるのはもちろんのこと、市町村クラスのそれぞれの自治体でも積極的に住民検診としてがんの検査メニューをアピールしており、多くの場合は500円程度のかなりの安価な料金で受診することができるようになっています。特に、高齢者や生活保護受給者世帯の人については無料とするなど、収入面に配慮して便宜を加えている自治体も数多くみられます。